1104_目を開いて雨の中に立っていた


素描家 しゅんしゅん 個展「線の森」
GULIGULI(大阪) 

gallery: shun shun solo exhibition

まばたきの度に増えてゆく線。
見えていなかったものが見えてゆき
見えていた形が変わってゆく。
雨にゆっくり囲まれて、
やがて私全部をすっぽり覆いきって
その中で目を開いていることに気づく。
同時に、
傘を持たなかった大雨の日に
顔をくしゃくしゃにして
歩いていた視界を思い出さずにいられなかった。
目を開いて、雨の中に立っている。
絵の前で「体験」をしている。
波のように重なる感覚の連続に涙が出た。
この両目に見えているあかるさは
しゅんしゅんさんが追いかけてる光だろうか。

雨も山も海も
自然としてのゆらぎを持っているのは
すべての線が生きているから。
一本の線だったらできないことを
線を書く手が叶えている。
あたらしい息づかいを分け与えていくように。
線の海に指す真白い光に、
美保関で見たうつくしい日の出を思い出していました。

名前にも分けてもらいました
金平糖の星を持ってたなんて。
うれしいなあ。
しゅんしゅんさん、ありがとうございました。

二つの線を引けば一つの書かれない線が引かれる。
書くことで、書かれなかった景色を差し出すこと。
言葉なら「行間を読む」という言葉が近いのかもしれないなあとぼんやり思いながら
今まで書いた全ての行から見えてくる書かれなかった一行に、
自分は僅かでも向かえているのかなと考えてました。
たくさん書いてるけどおんなじこと言いたいんだろうね、と
いつか言ってもらえるようにこのささやかな数十年を使い果たしたい。