紙の上で組んだ十指の幾つかはあなたのものだったかもしれない


3/6-5/5
葉ねのかべ
第十一弾 池田彩乃
「紙の上で組んだ十指の幾つかはあなたのものだったかもしれない」
葉ね文庫
http://hanebunko.com/
大阪府大阪市北区中崎西1丁目6 サクラビル1F
大阪市営地下鉄谷町線 中崎町駅から徒歩4分

2ヶ月、展示をさせていただきます。
詩と写真を中心とした展示になるかと思います。
会期中イベントもできたらいいなあ。
またお知らせしますね。
3月に京都へ引っ越すため、在葉ねは土日中心になるかと思います。

詩集の3ヶ月連続刊行を目論んでいます。
◇3月下旬『春へ』
春へ宛てた7つのソネットを綴じた詩集です。
◇4月『今宵に名前をつけるなら(仮)』
2017年、朗読会「今宵に名前をつけるなら」開催各地で読んだ作品を収録します。
◇5月『タイトル未定』
今回の展示にむけて書いたものたちや2017年作のいろいろを綴じます。
.
(いっぺんに出してほしいな…!)という声も聞こえる気がしますが、
3タイトルそれぞれの歩みで完成に向かっていますので、なにとぞ!
あと、葉ね文庫さん店内では、1年半ぶりの(!)「ことほぎくじ」登場予定です。
もちろん全てのくじは葉ね文庫仕様の新作です。

2017年ふりかえりと一杯の水について

2017年を振り返る気持ちになれたのは29日のお昼くらいからで
それまでは頭の天辺から爪先まですっぽりと2017年の波の中でした。
主立ったこととしては、
4年間勤めていた職場を3月に辞めて
つい先日、京都にて新しい仕事に就きました。
次の春までに京都へ引っ越しの予定をしていて
イコール大阪のこの部屋を出ることになるのですが
それがよく理解できてなくて寂しさがここまで届いてない。
まだそんな感じです。

両手を開くために幾つかを手放して軽くなった体であちこちで転んで。
その度に、ほんとうにいろんな人が親切にしてくださった。
生まれてこの方ずっとそうなんですが
出来事として浮かぶことがあまりに多くて
他力のありがたさを感じるばかりの一年でした。
ありがとうございました。
至らないままですが来年はもっと力強く歩めそうな気がしています。

詩集は新装版を含めて4冊。
100篇の詩で参加させてもらった音楽集がひとつ。
朗読の機会は全部で8回。その内今宵は4回。
その間に企画展とかにもいろいろ出してました。
去年からですが今宵は毎回読むものを書き下ろしているので
厚みのある新刊は作ってないと言っても
今年も振り返れば多く書いたほうなんじゃないかなと。

そんな中、夏の頃に書けなくなったということがありました。
誰にも読んでもらえないかもしれないけれど、
自分が読みたいことを携えてゆける形にしてみよう。
そう思って書き出したのが今年最後に作った『一杯の水を注ぐ手紙』です。
一冊で一篇になっていて、
まるごとあれが自分のリハビリ(リカバリー)の日々でした。
書かなくてもいいことを書けば、
近所のセブンイレブンの灰皿の前で毎夕、その日書き進んだところをなぞっては削って
一篇と一緒に生活をしているような近さだった。
あんなに書けなかったのに、最後にはすこし書き終えるのが惜しいとさえ思えたこと。
大丈夫だとひどく安心したこと。

出来上がった「手紙」は私宛になるのだろうかとぼんやり思っていたけれど
いただいた感想の中にはおしなべて「誰か」の存在に触れた感覚について書かれていて
具体的な表現は書かないけれど、数人の言葉が重なっていて驚いてしまった。
自分はなにを書いたんだろう、とふしぎな気持ちにもなった。
詩の中では私もあなたも誰かも代替可能のように思えるけれど、
あなたがいるその場所で私は書いていたんじゃないだろうか。
そんなことを思う。
あるいは私がいたあそこ、今はもう振り返っても見えないその場所へ
誰かが訪れることもあるのかもしれない。

来年は2月〜4月に大阪にて展示を予定しています。
期間が長いということもあり、朗読などのイベントもさせてもらえるかもしれません。
会期の中に真冬から春を迎えにいく一番すきな季節におまけに誕生日まで入っていて
たのしみです。また不定形巻き込み型な展示になるかと思いますが続報お待ちください!
あと引っ越し前に「ひやわま」でも朗読ができたらなあと思っています。
これは昨日思いついて話させてもらったばかりなので日時など未定ですがきっと!
また、高野裕子さんとの「今宵に名前をつけるなら」も来年も引き続き開催してゆきます。
今年開催が叶わなかった町にも出かけてゆきます。
多くの方にもいつもの方にもお会いできますように。

来年の標語は「全生き」にします。
全部生かす。全部で生きる。
全力も全身も全霊も全部盛りでおねがいします!
本年もありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

みなさまあたたかくおだやかな新年をお迎えください。

画像は今朝書いた大晦日という詩です。
テキストもおいておきます。



「大晦日」

僕は僕の母としていかにあったか
寝食の健やかさを願い優しく在れたか

僕は僕の医者としていかにあったか
病を騙さず怪我無き日々を重んじたか

僕は僕の友としていかにあったか
仕様もない道草に付き合ってやれたか
言葉無きところに笑いかけてやれたか

僕は僕の夢としていかにあったか
この拙さの前に路を敷いてやれるのはお前しかいない
目を憚るほどの光源が照らすのはお前ただ一人なのだ

熱い茶を二つ囲み
息を大袈裟に吐き出せば
どちらからともなく笑い出す

話をしよう
僕はお前をよく知っている


2017年作ったものふれたもの

書ききれていないこともたくさんあると思いますし
日付の間違いなどもあるかと思いますが
あしからずご了承ください。

【朗読会・企画展】

  • 3/25
  • 「今宵に名前をつけるなら × 葉ね文庫」
    https://tmblr.co/Zezbwi2JxYxen
    https://tmblr.co/Zezbwi2Jxo-b3

  • 3/29-4/9
  • 「言葉の庭 words garden」参加 at ソーイングギャラリー

  • 4/1
  • 「今宵に名前をつけるなら × ハマ・ノ・テlabo」
    https://tmblr.co/Zezbwi2KcBXHL

  • 6/3
  • 「今宵に名前をつけるなら × 青と夜ノ空」
    https://tmblr.co/Zezbwi2MiazhZ

  • 7/10-7/23
  • おんさ(言葉部門)詩集『ほとり』を刊行 at UMLAUT

  • 7/22-8/5
  • おんさ(映像部門) 詩と踊りとして出展 at hitoto
    https://tmblr.co/Zezbwi2OqQ8sh

  • 6/9
  • 朗読会「息の切片」 at 紙片

  • 6/29
  • 雑誌『ユリイカ 詩と批評』2017年7月号「今月の作品」(三角みづ紀 選)掲載

  • 7/30
  • もうりひとみ「ここにいっぽんの、川」詩と踊りパフォーマンス at アトリエ三月

  • 8/11
  • 「今宵に名前をつけるなら × SEWING GALLERY」
    https://tmblr.co/Zezbwi2OqLZ0C

  • 8/30-9/10
  • 石フェス!2017 at ソーイングギャラリー

  • 10/5〜10/8
  • 「TOKYO ART BOOK FAIR」GINZAブース(SUNNY BOY BOOKS&c.i.p.booksセレクト)参加

  • 10/7
  • 藤本徹 朗読会「大阪で青葱を切る」ゲストとして朗読 at blackbird books

  • 12/5-17
  • 「三条富小路書店8」参加 at gallery h20

  • 12/10
  • もうりひとみ「灰の生まれる」詩と踊りパフォーマンス at ondo gallery


    【詩集と音楽集】

    5/24
    新装『詩片』刊行

    詩片


    5/31
    新装『発光』刊行

    発光


    9/16
    音楽集「紙片」100篇の詩で参加

    紙片の音楽集


    10/5
    詩集『光るよ』(被写体:高野裕子)刊行
    10/8
    詩集『一杯の水を注ぐ手紙』刊行


    【デザイン制作物】
    「今宵に名前をつけるなら」広報
    神﨑由梨 個展「今日の気配」DM
    神﨑由梨「食卓」ポストカード三種
    神﨑由梨「今日の気配」ポストカードセット
    さとうさかな 個展「とりとめなく庭が」フライヤー
    さとうさかな ポストカード三種


    【見たもの、聴いたもの、ふれたもの】

    1/29 Akira Kosemura ONE DAY Solo Piano Concert 2017at 天満教会
    2/16 神崎由梨 「食卓」atギャラリー6C
    2/22 石川直樹 この星の光の地図を写す at 水戸芸術館
    3/8 グザヴィエ・ドラン「たかが世界の終わり」 at テアトル梅田
    3/18 マームとジプシー「てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。」 at 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
    3/29 yumbo『鬼火』リリースライブ at UrBANGUILD
    4/00 エドワード・ヤン「牯嶺街少年殺人事件」 at シネマート
    4/8 木太聡 ピアノ演奏会 at flame
    6/18 穂高亜希子・大濱周也 (賢いユリシーズ) at yugue
    6/23 したため#5 「ディクテ」 at アトリエ劇研
    8/6 アトリエ公演vol.1 芦屋康介と高野裕子 at UMLAUT
    8/29 松野泉「さよならも出来ない」 at 第七芸術劇場
    9/3,11/27 ななつきぐも朗読会 at食堂souffle
    9/8 ジム・ジャームッシュ「パターソン」 at シネ・リーブル梅田
    10/28 NUUAMM「NO W/AVE TOUR 2017」 at 島之内教会
    11/5 素描家 しゅんしゅん個展「線の森」 at GULIGULI
    12/17 神崎由梨×中野由紀子「I am cloud」at pieni deux


    【本と音楽ありがとう】

    『グレン・グールド 孤独のアリア』著:Michel Schneider 翻訳:千葉 文夫
    『クートラスの思い出』著:岸 真理子・モリア
    『明滅と反響』yumbo
    『或る少年』木太聡
    「灯台」haruka nakamura + 内田輝 + CREEKS.
    「J.S」Hideyuki Hashimoto

    1104_目を開いて雨の中に立っていた


    素描家 しゅんしゅん 個展「線の森」
    GULIGULI(大阪) 
    http://guliguli.jp/shunshun/

    まばたきの度に増えてゆく線。
    見えていなかったものが見えてゆき
    見えていた形が変わってゆく。
    雨にゆっくり囲まれて、
    やがて私全部をすっぽり覆いきって
    その中で目を開いていることに気づく。
    同時に、
    傘を持たなかった大雨の日に
    顔をくしゃくしゃにして
    歩いていた視界を思い出さずにいられなかった。
    目を開いて、雨の中に立っている。
    絵の前で「体験」をしている。
    波のように重なる感覚の連続に涙が出た。
    この両目に見えているあかるさは
    しゅんしゅんさんが追いかけてる光だろうか。

    雨も山も海も
    自然としてのゆらぎを持っているのは
    すべての線が生きているから。
    一本の線だったらできないことを
    線を書く手が叶えている。
    あたらしい息づかいを分け与えていくように。
    線の海に指す真白い光に、
    美保関で見たうつくしい日の出を思い出していました。

    名前にも分けてもらいました
    金平糖の星を持ってたなんて。
    うれしいなあ。
    しゅんしゅんさん、ありがとうございました。

    二つの線を引けば一つの書かれない線が引かれる。
    書くことで、書かれなかった景色を差し出すこと。
    言葉なら「行間を読む」という言葉が近いのかもしれないなあとぼんやり思いながら
    今まで書いた全ての行から見えてくる書かれなかった一行に、
    自分は僅かでも向かえているのかなと考えてました。
    たくさん書いてるけどおんなじこと言いたいんだろうね、と
    いつか言ってもらえるようにこのささやかな数十年を使い果たしたい。